「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)って、何を書けばいいの?」
「リーダー経験も、すごい成果もない自分に書けることなんてあるのかな…」
そんなふうに感じている就活生の中には、“コミュ障”の自分を理由に、自信をなくしている人が少なくありません。
かつての私もそうでした。人前に出るのが苦手で、サークルもバイトも裏方ばかり。
「こんな自分に語れることなんてない」と思い込んで、エントリーシートが白紙のまま何日も過ぎていきました。
でも、社会人になって採用担当を経験した今だからこそ、別の大事なことがあると言えます。
この記事では、
- ガクチカが書けないと感じる理由
- コミュ障就活生でも語れる“意外な経験”の見つけ方
- 評価される伝え方のコツと例文
を、かつて就活に悩んだ立場と、元採用担当としての視点をまじえながら解説していきます。
「ガクチカがない」と感じるコミュ障の典型パターン
「ガクチカが書けない…」と感じている就活生の多くは、“ネタがない”というよりも、“書いていいと思えることがない”状態に近いです。
とくにコミュ障気質の人ほど、「こんなことじゃダメだろう」と自分で線引きしてしまいがちです。
「リーダー経験がない」=「書けない」と思ってない?
エントリーシートや面接対策の記事を見ると、「チームをまとめた経験」「挑戦したこと」などが並んでいますよね。
それを見て、「自分にはリーダー経験がないからガクチカが書けない…」と感じてしまう人は本当に多いです。
かつての自分もそうでした。
周りが「ゼミ長をやった」「サークルで大会を企画した」と語る中、私は「人前で発言すらできなかった自分に何が語れるんだろう…」と、書き始める前から諦めていました。
でも採用担当の立場になって分かったのは、リーダー経験=必須条件ではないということ。
それよりも、「どんなことを大切にして行動したのか」「自分の特性をどう活かしたのか」のほうが、よほど印象に残ります。
一人で頑張ったことを“努力”として認識していない
もう一つ、コミュ障の就活生に多いのが、「一人で取り組んできたこと」を努力と認めない傾向です。
- サークルに入らず、自分の趣味を深めてきた
- バイト先で会話が苦手な分、仕事の正確さにこだわった
- 誰にも相談できなかったけど、就活の準備を少しずつ自分のペースで進めてきた
こうした経験こそ、「自分なりに頑張ってきたこと」。
それを“ガクチカ”として扱っていいんです。
目立たなくても、派手じゃなくても、あなたが積み重ねたことには価値があります。
その価値に気づくことが、ガクチカづくりの第一歩です。
現時点で「自分には語れることがない」と感じてしまう人は、自己PRの作り方に問題があるかもしれません。
こちらの記事では“話せない自分”を活かす方法を解説しています。

コミュ障が見落としがちな“語れる経験”は?
「語れるような経験がない」と感じるのは、“話題になりそうなこと”=“ガクチカになる”と思い込んでしまっているから。
でも、実はコミュ障の人こそ、他の人が見逃しがちな「深みのある経験」を持っていることが多いんです。
ここでは、そうした“見落とされがちだけど、語れる”経験を具体的に紹介します。
集団行動を避けていた時期にしていたこと
例えば、人と関わるのが苦手で、集団行動から距離を取っていた時期があったとします。
この期間に「何をしていたか」を掘り下げると、語れることが見えてきます。
たとえば、
- 講義や課題を一人でしっかりこなしていた
- 授業外で自分なりに学びを深めていた
- 雑談が苦手だから、相手に渡す資料や連絡文を丁寧に整えていた
こういった行動には、自分なりの工夫や配慮、継続力が含まれています。
それを言語化できれば、立派なガクチカになります。
一人でコツコツ続けたこと
たとえば、「毎日◯◯を記録していた」「半年間◯◯を勉強し続けた」など、人に言っていなかっただけで、継続してきたことがある人は多いです。
自分の場合は、就活準備として「話すのが苦手だからこそ、ESや面接質問をノートにまとめて繰り返し練習した」ことをガクチカとして書きました。
「努力の方向性が他の人と違う」ということは、むしろ“らしさ”になるんです。
結果ではなく「なぜ続けたか」に価値がある
「成果が出ていないからガクチカにならない」と思っていませんか?
でも評価されるのは、「何を得たか」より、「なぜ続けたか」の思考と背景です。
たとえば、
- 話さなくても評価される場を探して、黙々と働けるバイトを選んだ
- 自分の性格に合う環境を見つけたくて、一人でできる趣味を深めた
これらは、どれも“自分を理解しようとする努力”や“環境を選ぶ工夫”として評価される要素です。
ガクチカにふさわしいのは、「すごい話」じゃなく、「考えた末の行動」。
それは、コミュ障という特性を持つあなただからこそ、伝えられるエピソードです。
コミュ障のガクチカは「すごさ」ではなく「考えたこと」を中心に書く
「ガクチカにするには、誰かに誇れる“結果”が必要だ」と思い込んでいませんか?
でも実際は、どれだけ考えて行動したか、どんな視点で取り組んだかのほうが、採用担当にとっては重要です。
話すのが苦手な人ほど、結果だけを淡々と書いてしまいがちです。
ですが、「そのとき何を思ったか」を一言添えるだけで、エピソードは一気に伝わるものに変わります。
地味でもOK!大切なのは“受け止め方”
たとえばこんなエピソードでも、伝え方次第で評価されます。
大学のレポート課題では、いつも提出が遅れないように、計画的に進めることを徹底していた。
一人で取り組む中でも、スケジュールの見通しを立てて継続する力がついた。
このように、“どう行動したか”だけでなく、“なぜそうしようと思ったのか”を添えると、受け手にとって「その人らしさ」が伝わる文章になります。
元採用担当としても、“よくあるすごい話”より、等身大の中に考えが見える文章の方が、圧倒的に印象に残ると感じていました。
挫折経験やうまくいかなかった話も立派なエピソード
「成功体験じゃないとダメ」と思い込む必要もありません。
むしろ、失敗やうまくいかなかった経験にこそ、その人の思考と工夫が表れるからです。
私も就活中、グループワークでうまく話せず自己嫌悪に陥った経験を正直に書いたことがあります。
ただ、それをそのまま終わらせずに「だからこそ、自分なりにどう準備しようと考えたか」まで書いたことで、「素直で努力家だね」と評価されました。
挫折=マイナスではありません。
そこから何を考えたか、どう次につなげようとしたかの部分にあなたらしさが宿ります。
もし、書いた内容を話すのが苦手な方は、面接での“伝え方”もあらかじめ備えておくと安心ですよ。
特に「話がまとまらない」と感じる人は、こちらの記事が役立ちます。

ガクチカに“コミュ障らしさ”を自然ににじませるテクニック
「コミュ障って、正直に言っていいの?」
「自信がない感じが出すぎるとマイナスにならない?」
そんな不安を持つ就活生は少なくありません。
結論から言うと、“コミュ障です”と明言する必要はありません。
でも、自分の特性として“にじませる”ことはできますし、それがむしろ等身大の魅力になります。
「話すのが得意じゃないからこそ見えること」を伝える
たとえば、
- 発言するのは苦手でも、周囲の様子を見てサポートに回っていた
- 会話に入るのが苦手だったからこそ、空気を読みながら全体の進行を確認していた
こういった表現には、“控えめだけど気づける力”や“支える側の視点”がにじみます。
そしてそれは、企業が評価する“協調性”や“観察力”にもつながります。
採用担当としても、そうしたエピソードを読むと、「この人は周りをよく見てるな」「一緒に働いたら安心できそう」と感じることが多々ありました。
個人作業や裏方ポジションにいた理由を価値に変える
たとえば、
- 自分の性格上、作業に集中できる環境を選んでいた
- 表に出るよりも、正確に仕事を進める役割にやりがいを感じていた
このように、自分の選択や行動に“納得できる理由”を添えることで、弱みは強みに変わります。
「コミュ障であること」を恥ずかしがる必要はありません。
むしろ、自分の特性と向き合ってきたこと自体が、評価されるポイントになるんです。
だからこそ、“にじませ方”が大切。
控えめだけどしっかり考えてきた、そんなあなたらしさを文章に込めてみてください。
コミュ障就活生に多いNG例と修正ポイント
ガクチカが書けたとしても、読み手にうまく伝わらないケースがあります。
特にコミュ障就活生に多いのが、「無理に盛ってしまう」か「感情や考えが抜け落ちてしまう」パターン。
ここでは、実際にありがちなNG例と、その改善ポイントを紹介します。
“盛りすぎて不自然”なエピソードになってしまう
自信がないと、「自分の話じゃ評価されないかも…」という不安から、無理に大きな成果やリーダー経験を“作ってしまう”人がいます。
たとえば、こんなNG例があります。
実際は、イベント運営には関わっていたけれど、サポート役だったという。
採用担当としては、“無理に演出された話”はすぐにわかりますし、逆に信頼を失うこともあります。
なので、以下のように正直に書けばいいのです。
このように、実際にやったことをベースに、どう考えて動いたかを補足するほうが、よほど説得力があります。
“感情”や“思考”を入れずに説明だけで終わる
もう一つのNG例が、行動や結果だけを書いて、“なぜそうしたのか”や“どう感じたか”がないパターン。
次のようなものはよくあるNG例です。
これだと、事実は伝わっても、“あなたらしさ”がまったく見えてきません。
なので、次のように行動と内面をセットで書くことで、文章に深みが出ます。
ガクチカに必要なのは、演出でも完成度でもありません。
あなたの言葉で、自分なりに積み重ねたことを伝えることさえすれば、読み手にはしっかり想いが届きます。
まとめ:派手さじゃない。“自分なりの積み重ね”が武器になる
ガクチカは、「すごい経験を書かなきゃいけない」と思い込んでしまいがちです。
でも本当に大切なのは、派手さではなく、“どう考えて動いたか”というプロセスです。
話すのが苦手だった大学時代、私は「語れるような経験なんてない」と思っていました。
でも、少しずつ自分の行動を振り返ってみると、小さな積み重ねが確かにありました。
「人前で話せなかったからこそ丁寧に準備していた」とか、「集団に入れなかった分、一人でやれることを毎日続けていた」など。
そして採用担当として数多くの学生を見てきた今、そういった“地味だけど深いエピソード”が一番印象に残りやすいということを確信しています。
ガクチカは、比べるためのものじゃありません。
あなたが、あなたのペースで向き合ってきたことを言葉にするだけでいいんですよ。
さらに、ガクチカと並んで重要な“志望動機”も、同じように派手さより「自分の言葉」がカギになります。
書き方のポイントはこちらで詳しく解説しています。
